前回の記事で「結局、就職する上で優良な企業ってどこやねん!?」という問いに対して、私なりに1つの答えを出しました。その答えが以下の記事で示したランキングです。
「就職優良企業=高収益×高年収」と考えた時、一体どの会社が優良と言えるのかを示したランキングです。
まだ見てない人は以下の記事を見てみてくださいね。上場企業売上高トップ1000を対象に優良企業ランキングをずらららーっと示しています!
就活生は会社選びの材料の一つとして使えると思うので必見ですよ。
そんでもって、今回は堂々の全体2位にランクインしたファナックの経営について見てみたいと思います!
就活生の武器になるように意識していますので、是非参考にしてくださいね。
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目次
謎多きファナック、なにしてる会社なの?
ファナックは他社と比べても情報の開示が限定的なので謎多き会社と言われたりしています。
でも、会社の収益率は上場会社で15位。年収ランクでは11位、総合ランクでなんと2位にランクインした超優良企業です。
この会社、いったい何をしてるんでしょう?ファナックのホームページにはこんなことが書いてあります。
ファナックは1956年に日本で民間初のNCとサーボ機構の開発に成功して以来、一貫して工場の自動化を追求してまいりました。ファナックの基本技術であるNCとサーボから成るFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業の三本柱によって、お客様の自動化推進に貢献しています。
うひゃーー・・文系の私にはまったく理解できません。笑
・・がしかし、語弊を恐れず超平たく言うと工作機器の会社です。
工作機器っていうのは、メーカーがモノを作るための機械のこと。
なので、工作機器メーカーはいわば「メーカーのためのメーカー」ってことになります。ということは、顧客は当然メーカーでB to Bのビジネス。
顧客=メーカー=モノづくりのプロなので営業として活躍するためには高度な知識と交渉力が要求されそうです。
それと工作機器ってことは、景気の煽りをもろに受ける業界であることも分かります。
顧客であるメーカーが増産したい!と考えている局面では受注は増えますが、メーカーのモノが売れなきゃ生産用の機械なんていりませんからね。
ファナックがいかに高収益企業か
そんなファナックですが、3600社ほどある上場企業の中でも収益性ランクで15位という超優秀な成績をおさめています。
では、収益性の高さをもう少し具体的に見てみます。
下のスライドはファナックが投資家向けに行った決算説明会の資料です。
みてくださいこの営業利益率。
2016年度で28.5%ですよ。これめちゃくちゃ高い水準です。
さらによく見ると、2010年度とか・・w。42.5%です!もう異常です。笑
どんだけ付加価値高い商品売ってるんだよって感じです。当然、業界の特性からして同業界の営業利益率は総じて高めですが、その中でもファナックはズバ抜けています。
スマホ特需がひと段落で売上は下降気味
売上を見てみると、2014年以降がくっと落ちてきてますね。2014年度から2016年度の2年で26%も減っています。
おいおい売上大丈夫か?と思われるかもしれませんね。
14年度から売上が落ちてきている理由知るためには、2014年度の急上昇に目を向ける必要があります。
13年度と比べると1.6倍も増えてます。
この売上急増が一時的な要因によるものだったとしたら、その後売上が落ちつつあってもひとまず納得ですよね。
じゃあ、14年度にファナックの売上はなんでこんなに急増してるのか。ファナックの説明はこうです。
一部IT産業からの短期的な需要が、前年度に比べ当年度は期全体を通して活発な状況が続いたため、売上は大幅に増えました。(2014年度決算短信より)
ひゃぁぁー・・説明テキトーすぎやしませんか?笑
26%も増収してるのに説明たったのこれだけ!?笑
これで投資家が納得するのかな??とか思っちゃいますが、これがファナック。
「商売に時間を費やしたいから、投資家への説明なんかに時間をかけてる暇はないんだ」こんな印象です。
この「一部IT産業からの短期的な需要」ってのはどうやらスマホ製造に関連するものらしいです。
この一時的な特需が14年度の売上を押し上げ、特需が一巡して16年度の売上まで落ち着いてきた、という状況のようですね。
まぁ納得。
気になるのは売上減ではなくむしろ利益率の低下
売上の推移は納得した。
でも、気になるのは利益率の低下の方です。
営業利益率をみると2010年度からスマホ特需の2014年度まではある程度一定(40%強)の利益率を維持していますが、2014年以降は下落傾向で2016年度は28.5%にまで落ちています。
これ、スマホ特需といった類の一時的なイベントによって下落しているというよりは、もっとビジネスの構造的な要因な気がします。
結構根深い問題なのでは?と勝手に私は思いました。
ここは情報開示が限定的なファナックなので、分析が難しいですが、もう少しだけ見てみます。
まず、事業別に見るとロボマシンという事業の売上が減少していることが分かります。
さらに、地域別にみるとアジアの売上が激減していますね。
さらに見てみると、問題のロボマシン事業は売上の半分以上をアジアに依存している事が分かります。
メイン市場のアジアの売上が減少するのは大きな痛手だと思われます。
ここから、ロボマシン事業のアジアの収支が利益率低下の要因ではないか?という仮説をたてられます。
そしてこのロボマシン事業、さっき言ったスマホ特需をもろに受けている事業でもあります。
ということは、2014年 度に多額の設備投資が行われているはずですね。
「スマホ特需が来るぞー!→じゃあ特需に対応できるだけの設備が必要だ!→設備投資しまくれー!」ってな感じです。
多額の設備投資をしたら、一定の費用が数年間にわたってドカドカ発生し続けます。
その費用を減価償却費っていいます(減価償却費については、追っ て説明する記事を書きたいと思います)。
この多額の減価償却費が毎年出続けているにも関わらず、スマホ特需が一巡して売上だけ落ち着いちゃったもんだから、利益率が下がっちゃうわけですね。
こうした利益率の低下はファナックも問題視しているようで、昨今NTTグループと連携しながらIoTを活かした全社改善に取り組んでいるようですね。
年収だって高いぞファナック
さてさて、気になる年収ですが、平均年収が1,318万円と超優秀です。
ただし注意点してほしいのは、平均年齢です。
43歳と比較的高めです。
平均年齢が高いと平均年収も高くなりがちなのでちょっと注意してください。
とはいえ、かなりの高水準であることに変わりありません。
まとめ
ここまで数字の説明を結構しましたが、すべて会社ホームページで公開されている投資家向け情報からの推察です。
就活ではここまで分析出来れば十分、というか、たぶんココまでやってる人はごくわずかです。
なので、是非ご自身でもトライしてみて下さい。
安心してください。完璧な分析なんて要りません。
数字とか推移をみて「自分はこう思ったのですが実際御社では・・・」と言えることが大事。
とくに逆質問のタイミングなんかにはうってつけです。
こんな話をされたら、面接官だって「こいつ他の学生とはちょっと違うぞ。」と一目置きますよ。
ということで、今回はファナックを見ました。
あなたの目にはどう映ったでしょうか。
クールアイで自分なりに評価してみて「会社説明会くらいなら行ってみるか!」となるかどうか、ご自身でも考えてみてください。
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