「結局、就職する上で優良な企業ってどこやねん?」
という問いに対して、私なりに1つの答えを出しました。
その答えが以下で示したランキングです。
「就職優良企業=高収益×高年収」と考えたとき、一体どの会社が優良と言えるのかを示したランキングです。
まだ見てない人は以下の記事を見てみてくださいね。
上場企業売上高トップ1000を対象に優良企業ランキングをずらーっと示しています。
就活生は会社選びの材料の一つとして使えるので必見ですよ。
さて、今回は、ソニーを見ていきます。ボクの作ったランキングでは308位にランクインしていますが、果たして、あなたにとって魅力ある会社と映るでしょうか。
それではいきましょう。
関連記事:就職優良企業ランク444位!パナソニックを就活生のために分析研究してみた
目次
1.ソニーの事業構成
まずは、ソニーがどのような事業から成り立っているのかを抑えておきます。
1−1.主要6事業

ソニーの事業構成は大きく分けて6つあります。
・G&NS(ゲーム&ネットワークサービス)
・音楽
・映画
・EP&S(エレクトロニクスプロダクツ&ソリューション)
・I&SS(イメージング&センシング・ソリューション)
・金融
それぞれの商品イメージは上の図のとおり、手広く事業を展開しています。
1−2.事業別の売上構成比

ソニーの6事業の売上割合を示したのが上のチャートです。
ご覧のとおり、事業割合としてはG&NSとEP&Sが特に大きく、次いで金融ということが分かります。
これを見る限り、今のソニーの業績に(良くも悪くも)最も大きな影響を及ぼしているビジネスは、G&NSとEP&Sと言えそうです。
2.ソニーの業績トレンド
事業構成が分かったところで、ソニーの業績を見てみます。
2−1.売上トレンド:堅調

2009年度からの売上トレンドは堅調に伸びています。
2011年度は落ち込んでいますが、ここから、着実に回復しつつある状況が見てとれると思います。
2011年度の売上が64,931億円だったのに対し、2018年度は86,657億円にまで伸びています。これは伸び率にして33%の成長です。
では、いったいどのビジネスがこの堅調な伸長を支えているのか?
こちらをご覧ください。

これは、2010年度と2018年度の事業別の売上構成を示しています。
ここで目を惹くものが2つあります。
- G&NS(ゲーム&ネットワーキングサービス)の割合の拡大
- EP&S(エレクトロニクスプロダクツ&ソリューション)割合の縮小(ブルー部分)
これらが意味するのは、2010年以降の売上成長をもたらしたのは、G&NSビジネスの貢献が大きいということです。
おそらく、社内でもG&NS事業のプレゼンスは近年一気に高まっていると思います。「いわゆる」花形事業というやつでしょう。
2−2.営業利益トレンド:急成長
リーマンショック以降、G&NS事業の貢献もあり、売上が堅調に成長していることは分かりました。
では、利益はどうか?

このグラフは営業利益と営業利益率の推移を示したものです。
近年、右肩あがりで伸びていることが分かります。それも、かなりの伸び率。
2011年度に一時赤字にまで落ち込んだ営業利益は、2018年度に8,942億円(営業利益率で10.3%)にまで回復するという目覚ましい成長です。
では、この急速な利益成長を支えたのはどの事業なのか?

こちらは、事業別の営業利益を示したチャートです。
やはり、G&NS事業の営業利益が最大勢力となっていることが分かります。
このことから、売上だけでなく、営業利益額においてもG&NS事業の貢献が大きいと言えます。プレステは偉大なり。
3.売上が最も大きいEP&S事業のジレンマ
ところで、冒頭ご紹介したとおり、売上規模でG&NSと並んで大勢力だったEP&S(エレクトロニクスプロダクツ&ソリューション)の業績貢献はどうなのか?という点にも、少し触れておかなくてはいけません。
冒頭で見たとおり、EP&S事業の売上はG&NSとほぼ同じ規模を誇ります。
しかし実は、EP&Sは利益率が極めて低くなっています。
いくら売っても、売値とコストのバランスが崩れているため、利益が残らないのです。
以下をご覧ください。

セグメント別の売上と営業利益を示しています。
EP&S事業は、売上が23,206億円と最も大きいのですが、営業利益はたったの765億円しかありません。利益率にして、たったの3.3%です。
つまり、EP&S事業は他のビジネスと比べて、経営効率が悪いということです。
もっと言えば、全社の営業利益率が10.3%ということは、EP&S事業の売上が増加すればするほど、全社の営業利益率を押し下げてしまうジレンマがあるということです。
このジレンマはおそらく今のソニーにとって大きな課題になっているはずです。
戦術の定石を考えれば、抜本的なコスト改善を実施するか、高値でも売れる高付加価値商品で成功しないかぎり、事業改善は見込めません。
このあたりの課題は、先日記事にしたパナソニックの状況と似ています。
EP&Sの商品はテレビをはじめとした家電ですが、グローバルでの価格競争が熾烈なのです。
商品の差別化が難しく、安くしないと売れない状態なわけです。こうなると、ビジネスとしての旨味は損なわれますよね。難しい課題です。
4.ゲーム&ネットワークサービス事業の概要
今のソニーの成長を支えているのはG&NS事業と分かったので、この事業の戦略を見ておきます。
4−1.G&NS事業のありたい姿
To Be“The Best Place to Play”
「最高の遊び場」を実現する
これがG&NS事業が掲げている、「ありたい姿」のスローガンです。
このスローガンを満たすために、創出すべき価値を以下のように定義しています。
- 感動体験で人の心を豊かにする
新しい体験、豊かな経験、多様なコミュニケーションができる、「最高の遊び場」を提供し続けます。そして、ユーザーとクリエイターとのインタラクティブなつながりが実感できるフィールドを創造します。
- クリエイターの夢の実現を支える
プラットフォームの提供を通じて、クリエイターが自身の創造性や革新性を存分に発揮し、世界に届けられる環境を生み出し続けます。
4−2.G&NS事業の強み
G&NS事業は自分たちの強みを以下のように捉えています。
1)25年間の着実な投資および買収などの結果、世界各地にスタジオや主要なフランチャイズを持ち、世界中のユーザーにオリジナルのコンテンツIPを提供
2)ユーザーからの信頼と、クリエイターへの技術・ノウハウの共有を通じて培った「プレイステーション」のブランド力
3)ユーザーとクリエイターをつなぐ強固なゲームコミュニティの確立
4)デバイスや技術、ビジネスモデルを組み合わせたEnd to Endの企画開発力と世界的な販売力
5.ソニーの海外売上比率

今度は、地域別の業績を見てみます。
上のチャートのとおり、日本国内の売上は30%程度で、残り70%は海外売上となっています。
ここまで海外比率が高いと、多くの駐在員が世界中に点在していることが想像されます。
ちなみに、東洋経済の記事では、海外赴任者が多い企業ランキングでトヨタ自動車に次いで2位にランクインしていました。これによると、赴任者は1400名いるとのことです。(参考:東洋経済オンライン)
6.ソニーの人材分布

ソニーではたらく人がどの事業、地域にいるのかを示した図が上です。
事業としてはエレクトロニクスが66%を占めていますが、注釈のとおり、これには、プロダクツ&ソリューションやG&NSなども含んでいます。
地域は、日本で働く人が46%、のこりの54%は海外ではたらいています。もちろんこれには、現地ローカルの社員を含んでいます。
まとめ
今のソニーの成長を支えているのは、G&NS(ゲーム&ネットワークサービス)です。
一方、売上が最大のEP&S(エレクトロニクスプロダクツ&ソリューション)は利益率が低く、全社の利益率を低下させているのが現状です。このEP&Sのジレンマの解消をどう考えるのか気になるところ。
また、海外売上が7割を占めることもあり、海外駐在の機会は他社に比べて多いと言えそうです。
就活生としては、国内市場、海外市場、成長事業、停滞事業など、いろいろと混在しているソニーでのキャリアを面白いと考えるか否かが鍵になりそうです。
添付した情報はすべて、ソニーのホームページからの出典、および参考です。
【ソニーIR情報】
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/index.html
関連記事です。
ソニーとパナソニックを業績から比較しています。PS4で成功を収めたソニーに軍配が上がるが、もはや直接競合関係にはないよね、という話です。
他にもあります。企業別の研究記事はこちら。
就活生にむけた、企業研究記事をどんどん増やしています。
ぜひとも参考にしていってください。

コメントを残す