ソニーとパナソニックのどちらに就職した方が良いですか?
この質問がネットに落ちていたので、勝手に両社を業績の面から比較してみようと思います。
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目次
営業利益のトレンドで明暗

上記グラフは、ソニーとパナソニックの営業利益のトレンドです。
2017年度以降、ソニーが大きく営業利益を伸ばしたことで、完全に明暗を分けた格好になっています。
ソニーは2011年度を赤字で終えてから、じわじわと利益改善をしてきており、2017年度に完全にブレイクスルーしたのです。
では、ソニーに何があったのか?
先に結論から言うと、ソニーの急成長を支えたのは『PlayStation4の成功』です。
【留意点】
パナソニックは2015年度に減益しているように見えますが、これは会計ルールを国際会計基準に変更したことによる影響で、実質的には2011年度以降は右肩上がりの営業利益トレンドと見てください。ただし、この会計ルール変更による影響を除いたとしても、ソニーの急成長はキャッチアップできていません。
営業利益率に見るパナソニックの堅実さ

今度は、売上高に占める営業利益の割合(営業利益率)を見てみます。
やはり、ソニーが2017年度から急速に改善しているのが目立ちます。
ただ、パナソニックも堅調に利益率を改善させているんですよね。
ソニーとの比較で見ると、どうしてもパナソニックの業績は見劣りしてしまうのですが、今や両社は直接的な競合ではなくなってきているという事実も勘案すべきでしょう。
事業ポートフォリオの違い
かつて、ソニーとパナソニックは家電領域で真っ向勝負していましたが、今の両社は進もうとしている方向が大きく異なってきています。
ソニーの事業ポートフォリオ

こちらは、ソニーの事業別の売上割合を示したチャートです。
2010年度は62%もあった家電系(ブルー部分)が、2018年度には27%にまで割合が縮小しています。
近年のソニーの業績をドライブしているのは、いわゆる『家電』ではなく、PS4のゲーム事業やソニーミュージックに代表される音楽事業になっているんですよね。

『テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー』を標榜するソニー
パナソニックの事業ポートフォリオ

こちらは、パナソニックの事業別売上高の構成比を示したものです。
ソニーと異なり、2018年度時点でも家電事業(アプライアンス)が大きな割合を占めているのが分かります。
パナソニック社長はアニュアルレポートの中で、『2030年をターゲットに「くらしアップデート」の会社を目指す』と宣言しています。
クリエイティブエンタテインメントカンパニーを掲げ、ゲームや音楽、映画ビジネスに進むソニーと、人々の「くらし」に注目し、電気製品で直接的・間接的に価値提供をもくろむパナソニック。
今や、まったく異なる会社です。
ソニーの事業別利益率
2017年度にブレイクスルーを果たしたソニーを支えているのはPS4と言いました。
以下は、ソニーの事業別の利益率です。
(億円) | 売上 | 営業利益 | 営業利益率 |
ゲーム&ネットワークサービス | 23,109 | 3,111 | 13.5% |
音楽 | 8,075 | 2,325 | 28.8% |
映画 | 9,869 | 546 | 5.5% |
エレクトロニクスプロダクツ&ソリューション | 23,206 | 765 | 3.3% |
半導体 | 8,793 | 1,439 | 16.4% |
金融 | 12,825 | 1,615 | 12.6% |
その他 | -858 | #DIV/0! |
最上段のゲーム&ネットワークサービスがPS4の属するセグメントなのですが、売上が大きいだけでなく、利益率も13.5%もあります。
一方、家電(エレクトロニクスプロダクツ&ソリューション)の利益率はたったの3.3%です。
ちなみに、パナソニックの家電事業も2019年度見通しベースで2.7%しかなく、家電事業の厳しさが分かります。
PlayStation4の誕生秘話

実は、ソニーはコーポレートレポートの中でPS3は予想以上に初期投資がふくらみ、業績は厳しいものになったと公言しています。
上のグラフはゲーム&ネットワークサービスの売上推移を示しています。
2006年11月にPS3を発売したにもかかわらず、売上が大きく伸びることはなく、翌々年からは売上が低下しています。
結果的にはこのPS3からの学びをPS4の開発に活かして、大成功を収めたわけですが、この秘話は読む価値ありなので、ご自身でコーポレートレポートを見てみてください。
まとめ
ソニーとパナソニックを業績面で比較すると、PS4に成功したソニーに軍配があがります。
ただし、両社はいまや、同じ土俵で競合しているとは言えない点には留意しないといけません。
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